「うちは機械や製品を売っているわけではないので、展示会のブースに置くものがない」。ソフトウェア、人材サービス、物流、コンサルティング、施工や保守といった会社のご担当者から、よくいただく相談です。実際、周りのブースが大きな実機をどんと置いているなかで、自社のスペースにはパネルとカタログしかない、という状態は不安になります。
ただ、来場者は「モノ」を見に来ているわけではありません。見たいのは「自社の困りごとが、どう解決されるのか」です。形のない商品は、その解決の中身を見せる工夫さえできれば、むしろ説明の主導権を握りやすい商材でもあります。この記事では、展示する実物がない会社が、1小間(間口約2.97m×奥行約2.97m)のブースで何をどう見せればよいかを、具体的な寸法と作業の順番で整理します。
最初に決めるのは「見せるモノ」ではなく「見せる場面」
形のないサービスを展示しようとすると、つい「何を置くか」から考えてしまいます。しかし先に決めるべきは、来場者に想像してもらう場面です。たとえば人材サービスなら「採用担当者が応募者の対応に追われている月曜の朝」、物流なら「出荷ミスの原因を探して倉庫を歩き回っている場面」。この具体的な一場面が決まると、ブースに置くべき要素が自動的に決まります。
決め方はシンプルで、次の3つを1行ずつ紙に書くだけです。
(1)誰の、どの場面か (2)いま何にどれだけ時間やお金がかかっているか (3)自社が入ると、それがどう変わるか。
この3行が、そのままブース正面のキャッチコピー、パネルの見出し、スタッフの第一声になります。コピーの考え方は遠くから読めますか? 展示会ブースの社名サインとキャッチコピーの決め方もあわせてご覧ください。
形のないサービスを「見える化」する5つの方法
実物がない場合、次の5つのうち2つ程度を選んで組み合わせるのが現実的です。全部やろうとすると、1小間では確実に入りきりません。
| 方法 | 具体例 | 必要なもの | 準備の目安 |
|---|---|---|---|
| 画面を実演する | 管理画面やアプリを実際に操作して見せる | 27〜32インチのモニター1台+ノートPC+デモ用データ | 2〜3週間 |
| ビフォー・アフターを数字で出す | 「問い合わせ対応 月48時間 → 12時間」など | パネル1枚(W900×H1800mm程度) | 1〜2週間 |
| 工程・手順を図で見せる | 導入から稼働までの流れを5ステップの図解に | 壁面グラフィックまたはタペストリー | 2週間 |
| 現物サンプルを借りる | 自社が施工した部材、扱う商品の一部、報告書の実物 | 小型什器または展示台1台 | 1週間 |
| 体験させる | その場で簡易診断・見積もり・測定をして結果を渡す | カウンター+椅子2脚+A4の結果シート | 3〜4週間 |
特に効果が出やすいのは、2つ目の「数字で出す」です。サービス業のブースは抽象的な言葉が並びがちなので、具体的な数字がひとつあるだけで足が止まります。実績が少なくても、自社内で試した結果や1社分の導入事例を許可を得て出せば十分です。印刷物の入稿期限は入稿は会期の何日前? 展示会ブースのグラフィック(出力物)の作り方と入稿の基本で解説しています。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
1小間の場所の使い方:奥3割を捨てない
実物がない会社のブースは、壁面と床に余白が生まれます。この余白をうまく使うと、同じ1小間でも中身が濃くなります。目安としての配分は次のとおりです。
通路際(手前1m):立ち止まらせるゾーン。モニターかパネルを、床から目線の高さ(中心がH1300〜1500mm)に配置します。
中央(1m〜2m):説明するゾーン。カウンター(W1200×D450×H1000mm程度)を1台。高さ1000mm前後だと立ち話にちょうどよく、資料も置けます。
奥(2m〜3m):座って話すゾーン。丸テーブル1台+椅子2脚。ここを物置にしてしまう出展社が多いのですが、形のないサービスほど「座って15分」で決まるため、奥は商談に使う価値があります。
奥に商談スペースをつくる具体的な方法は立ち話で終わらせない。1小間からつくる展示会の商談スペースにまとめています。荷物や在庫の置き場に困る場合は、段ボールはどこに置く? 1小間でもつくれる展示会ブースのバックヤードもどうぞ。
実演・体験は「3分」で組み立てる
画面の実演や簡易診断を用意するなら、所要時間を先に決めてから中身を削ります。展示会場で立ったまま集中して聞けるのは、おおむね3分程度です。
組み立て方の目安は、0〜30秒で困りごとの提示、30秒〜2分で実際の操作や作業、2分〜3分で結果と次の一歩。3分を超えそうなら、超える部分は「続きは座ってお話ししましょう」と商談席に移すきっかけにします。話しかけ方や立ち位置はブースに立つ人で成果が変わる。展示会スタッフの服装・立ち位置・声かけが参考になります。
なお、モニターを使う場合は会場の明るさに注意してください。展示会場の照明下では、一般的な家庭用テレビだと画面が白っぽく見えることがあります。輝度の高い業務用モニターを選ぶか、画面にスポットライトが直接当たらない配置にするのが無難です。照明の考え方は明るくすれば目立つ、ではない。展示会ブースの照明の考え方で扱っています。
費用はどのくらい見ておくか
展示物が少ない分、ブースの造作費は抑えやすい商材です。当社のブースパッケージ「NEIGHBOR」の参考価格でいうと、壁面だけを立てるプランは1小間18万円〜、2小間28万円〜。システムブースは1小間28万円〜、2小間42万円〜。造作の自由度が高い木工ブースは1小間72万円〜、2小間105万円〜です(いずれも参考価格・照明込み、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金)。
形のないサービスの場合、造作を豪華にするより、壁面のグラフィック1枚とモニター1台に予算を寄せるほうが成果につながりやすい傾向があります。たとえば壁だけプランに、大判のターポリン1枚とモニターレンタル(会期3日で目安3〜6万円程度)を足す組み合わせは、初出展の現実的な選択肢です。どこを削ってよいかの判断基準は見積もりが予算オーバー。展示会ブースで削っていい費用・削ってはいけない費用にまとめました。実際の仕上がりのイメージは施工事例もご覧ください。
よくある質問
Q. カタログとパネルだけでは、やはり弱いでしょうか?
A. 弱いというより、立ち止まる理由が生まれにくい、というのが正確なところです。パネルは通り過ぎながら読めてしまうため、足を止める役割を担いにくいのです。動くもの(モニターの映像や実演)か、触れるもの(サンプルや配布する診断シート)を1つ足すだけで、滞在時間は変わります。予算が限られるなら、モニター1台のレンタルから試すのが手軽です。
Q. 見せられる導入事例が、まだ1社もありません
A. 自社を事例にしてしまう方法があります。「このサービスを自社の業務に使ったら、月◯時間が◯時間になった」という内容でも、数字と手順が具体的であれば来場者には十分に伝わります。他社事例を待つより、実測した自社の数字を1つ出すほうが早く、誇張のリスクもありません。
Q. 競合が大きなブースで実機を展示しています。勝ち目はありますか?
A. 大きなブースは、遠くから目立つ代わりに、一人ひとりの滞在時間が短くなりがちです。小さなブースの強みは、来場者と1対1でじっくり話せること。「誰の、どの場面か」を絞り込んだキャッチコピーを掲げると、その課題を持つ人だけが確実に足を止めます。全員に見られることを狙わず、30人と深く話すことを目標にしたほうが、商材としては相性がよいはずです。
まとめ
置くモノがないことは、不利な条件ではありません。むしろ、来場者の課題そのものをブースの主役にできる自由度があります。決める順番は、(1)見せる場面を1つに絞る、(2)見える化の方法を2つ選ぶ、(3)1小間を手前・中央・奥の3つに割り振る、(4)実演は3分で組む、の4ステップ。この順番で考えれば、パネルとカタログだけのブースからは確実に抜け出せます。
最初の出展では、欲張らずに「1つの場面、1つの数字、1つの実演」に絞ってみてください。結果が見えれば、次回に足すべきものも自然に見えてきます。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
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