展示会の準備というと、ブースのデザインや配布資料、スタッフのシフトに意識が向きがちです。ところが初出展の会社から意外と多く聞くのが「会期中に試作品が一つ見当たらなくなった」「朝来たらタブレットが消えていた」という声です。展示会場は不特定多数の人が出入りする場所で、しかも搬入・搬出の時間帯は関係者が入り乱れます。この記事では、会期中の盗難・紛失・破損を防ぐために、準備段階から当日の終わりまでに押さえておきたいことを整理します。
展示会で「なくなる」のは、どんなときか
盗難や紛失が起きやすいのは、実は来場者が多い時間帯ではありません。目安として注意したいのは次の3つの時間帯です。
- 搬入日と搬出日:施工業者・運送業者・他社スタッフが大勢出入りし、誰が関係者か見分けにくい。特に搬出は会期終了直後から一斉に始まり、ブースが無人になりやすい
- 会期中の朝と閉場直後:スタッフが到着する前、帰った後にブースが手薄になる
- 昼休憩や商談が重なったとき:全員が来場者対応や休憩に出て、ブースに「誰も見ていない数分」が生まれる
狙われやすいのは、小さくて持ち運びやすく、換金しやすいものです。タブレット、ノートPC、スマートフォン、小型の試作品、化粧品などのサンプル、そしてスタッフのかばんや財布。逆に大型の機械や什器が持ち去られることはまずありません。「小さくて価値のあるもの」をリストアップするのが対策の第一歩です。
ブースの設計段階でできる防犯
防犯は当日の注意だけでなく、ブースをつくる段階から組み込めます。装飾会社と打ち合わせるときに、次のような要望を伝えておくと対応しやすくなります。
- 鍵付きの収納をつくる:受付カウンターや展示台の下を扉付き・鍵付きにしておくと、夜間に小物をしまえます。1小間でもカウンター下の収納程度なら追加しやすい部分です
- 展示台に固定用の穴や金具を用意する:タブレットやノートPCをワイヤーロックで留めるための取り付け位置を、あらかじめ決めておく
- バックヤードを扉付きにする:カーテンだけだと中が見え、手も入ります。簡易でも扉があるだけで「立ち入りにくさ」が変わります
バックヤードの取り方については1小間でもつくれる展示会ブースのバックヤードで詳しく解説しています。スペースが限られる場合は、カウンター内の鍵付き収納と組み合わせると現実的です。
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1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
展示品・機材の守り方
実際に手に取って試してもらう展示品は、見せることと守ることのバランスが大切です。持ち物ごとの対策の目安をまとめます。
| 対象 | 会期中の対策 | 夜間(閉場後)の対策 |
|---|---|---|
| タブレット・ノートPC | ワイヤーロックやセキュリティスタンドで固定。画面ロックと端末の位置情報機能をオンに | 持ち帰るか、鍵付き収納へ |
| 小型の試作品・高額サンプル | アクリルケースに入れ、触ってもらう用は別の「デモ機」を用意 | 持ち帰る。やむを得ず置くなら鍵付き収納へ |
| 配布サンプル・ノベルティ | 見える場所には1〜2時間分だけ出し、残りはバックヤードへ | 段ボールごとバックヤードへ |
| 大型機械・什器 | 転倒防止を優先。電源タップや付属品の置き忘れに注意 | カバーをかける。付属の小物は外して収納 |
特に効果が大きいのは「触ってもらう用」と「本物」を分けることです。試作品が1台しかない場合、それを失うと残りの会期がまるごと台なしになります。数量に余裕がない場合は、展示はケースの中、説明は動画や写真パネルで、と役割を分けることも検討してください。
スタッフの私物と「最後の一人」ルール
見落とされがちなのがスタッフの私物です。かばんをカウンターの下や展示台の横に置いたまま接客していると、外から丸見えになります。私物は会場のクロークやコインロッカーを使うか、バックヤードの一か所にまとめ、財布とスマートフォンは身につけておくのが基本です。
もう一つ決めておきたいのが「ブースを無人にしない」ルールです。シフト表をつくるときに、休憩が重ならないようにし、最後の一人がブースを離れるときは必ず誰かに声をかけてから、という決まりにします。人数が足りない場合は、昼の10〜15分だけでも隣接ブースの方に一声かけておくと安心です。シフトの組み方は展示会に何人立てばいい? 出展スタッフの人数の決め方とシフトの組み方も参考にしてください。
搬出日がいちばん危ない
会期最終日の閉場アナウンスと同時に、会場は一気に撤去モードに切り替わります。疲れと安堵で気が緩むうえ、段ボールが通路にあふれ、誰の荷物か分からなくなる時間帯です。目安として次の3点を決めておくと、トラブルがぐっと減ります。
- 高額品・試作品は、閉場後すぐに最初に梱包し、担当者が手元で持つ
- 段ボールには社名・小間番号・連絡先・「○箱中○箱目」を書き、個数を記録しておく
- 運送業者に引き渡すまで、最低1人はブースに残る
搬入・搬出全体の流れは前日18時に会場は閉まる。展示会の搬入・搬出の段取りと持ち物リストにまとめています。
万が一なくなったら、保険は使える?
主催者が会場の警備員を配置していることは多いものの、多くの展示会の出展規約では、出展物の管理は出展者の責任とされています。つまり、なくなっても主催者が補償してくれるとは限りません。高額な展示品がある場合は、自社の動産総合保険などが展示会場での盗難・破損に適用されるかを事前に保険会社や代理店へ確認しておきましょう。展示会向けの短期の保険が用意されている場合もあります。
実際に紛失に気づいたら、まず主催者事務局(運営本部)に届け出て、必要に応じて警備本部や警察へ連絡します。保険を使う可能性があるなら、届け出た日時と受付した人の名前を控えておくと後の手続きがスムーズです。
よくある質問
Q. 会期中の夜、展示品はブースに置いたまま帰ってもいいですか?
A. 多くの会場で夜間は警備員が巡回しますが、各ブースを個別に見張るわけではありません。大型の機械や什器は置いたままが一般的ですが、小型で高額なもの、替えのきかない試作品は持ち帰るか鍵付きの収納にしまうのが安心です。
Q. 防犯のために警備員を個別に手配すべきですか?
A. 数小間程度の出展であれば、ここまで紹介した固定・収納・人員の工夫で十分なことがほとんどです。宝飾品や高額な医療機器など、1点で数百万円を超える展示がある場合は、主催者の指定警備会社に個別警備を相談する価値があります。
まとめ
展示会の防犯は、特別な機器を入れることよりも「小さくて価値のあるものを把握する」「しまう場所をブースの中につくる」「無人の時間をつくらない」という3つの基本でほとんどが防げます。どれも準備段階で決めておけば手間はかかりません。ブースの設計と合わせて考えたいときは、施工事例で収納やカウンターのつくり方も参考にしてみてください。安心してブースに立てることが、来場者との会話に集中できる一番の土台になります。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
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