出展社マニュアルをめくっていたら、「出展社セミナー枠 募集」というページが出てきた。応募は無料、あるいは数万円。30分の登壇枠がもらえるらしい。でも、自社が話せるネタなんてあるのか。人が集まらず、空席の前で話すことになったら気まずい——そう思って、そっとページを閉じた担当者の方は多いはずです。
もったいない、というのが正直なところです。セミナー枠は、ブースの前を通りかからなかった人にも自社を届けられる、数少ない「こちらから出ていける」手段だからです。この記事では、枠の種類と申込のタイミング、テーマの決め方、人を集めるための事前の動き、そして登壇を商談につなげる導線まで整理します。
セミナー枠には、大きく3種類ある
ひとくちに「セミナー」と言っても、展示会が用意している枠はいくつかに分かれます。条件も集客力も違うので、まず自社が応募できるのはどれかを確認しましょう。
| 枠の種類 | 場所 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 主催者企画セミナー | 会場内の専用会場 | 登壇料が発生、または招待制 | 集客力が高いが、選定のハードルも高い |
| 出展社プレゼンテーション | 会場内の小ホール・オープンステージ | 無料〜十数万円 | 出展社なら応募可。20〜40分が主流 |
| ブース内ミニセミナー | 自社ブース | 装飾費のみ | 申込不要。1回10〜15分を1日数回まわす |
初出展でまず狙うなら、2つめの「出展社プレゼンテーション」です。出展が決まっていれば応募でき、無料枠を設けている展示会も少なくありません。ただし先着順や抽選のことが多く、募集の締切は会期の2〜3か月前に設定されているのが一般的。出展申込のあと、マニュアルが届いた時点で締切日を手帳に書き写しておくくらいでちょうどいいです。
3つめのブース内ミニセミナーは、申込が要らないぶん自由度が高い方法です。ただし人が立ち止まる前提の設計が必要になるので、全部並べても、伝わらない。展示会に持っていく展示物と実演の決め方とあわせて考えると失敗が減ります。
テーマは「自社の紹介」にしない
応募用紙のテーマ欄に「株式会社◯◯の製品紹介」と書きたくなりますが、これを書いた時点で来場者は座りません。来場者がセミナー会場に足を運ぶ理由は、「自分の仕事の困りごとが解決しそうだから」であって、特定の会社に興味があるからではないのです。
テーマは、来場者の言葉で書きます。考え方はシンプルで、普段お客様から一番よく受ける質問を、そのままタイトルにするだけです。
| ありがちなテーマ | 座ってもらえるテーマ |
|---|---|
| 当社の新製品ラインナップのご紹介 | 不良率を下げたい現場が、最初に見直すべき3か所 |
| ◯◯システムの導入事例 | 人を増やさずに検査工程を回す。3社の実例から |
| 当社の技術力について | 見積もりが高いと言われたとき、どこを説明すればいいか |
自社の話は、全体の2割程度に留めるのが目安です。8割を来場者の課題と一般論に使い、最後に「うちならこうします」と触れる。この配分にすると、終了後にブースへ来てくれる人が明らかに増えます。
話す長さは、与えられた時間の8割で組み立ててください。30分枠なら中身は24分程度、残りを質疑と入退室に充てます。スライドは1枚1分が目安なので、24〜25枚。初めてなら、もっと少なく15枚くらいでも十分成立します。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
人は「勝手には」集まらない
枠を取れたら安心してしまいがちですが、主催者が集客してくれるのはプログラム表への掲載までです。席を埋めるのは出展社側の仕事だと考えておいたほうがいいでしょう。
やることは4つです。ひとつめは、招待状やメールでの告知に登壇日時を入れること。事前集客の打ち手は当日を待たない。展示会の事前集客、招待券・メール・SNSの使い方にまとめています。
ふたつめは、ブースに告知を出すこと。A1サイズ(594×841mm)のポスターを1枚、通路から見える位置に立てるだけで違います。「本日14時/東ホール セミナー会場A」と、時間と場所だけを大きく。
みっつめは、開始30分前に声をかけて回ること。ブースで話した相手に「このあと14時から話すので、よかったら」と伝えるのがもっとも確実な集客方法です。
よっつめは、資料の配布を「終了後」にすること。開始前に配ると、読んで満足して退席されます。最後に「続きは資料に入れてあります」と渡すほうが、その足でブースまで来てもらいやすくなります。
登壇を商談につなげる導線をつくる
セミナー会場とブースは、数十メートル離れていることがほとんどです。この距離を越えてもらうために、最後のスライドで3つを明示します。ブースの小間番号、そこで何が見られるか、そして誰に声をかければいいか。「東2ホール 2B-30で、実機を動かしています。赤いストラップの者にお声がけください」くらい具体的だと、迷わず来てもらえます。
登壇者はそのままブースに戻り、30分は在席するようにしてください。話を聞いた直後の来場者がもっとも熱量が高く、その場に登壇者本人がいるかどうかで商談への進み方が変わります。人数が限られる場合のシフトの組み方は展示会に何人立てばいい? 出展スタッフの人数の決め方とシフトの組み方も参考にしてください。
ブース側にも、話を受け止める場所が要ります。1小間でも奥に椅子を2脚置ければ十分で、つくり方は立ち話で終わらせない。1小間からつくる展示会の商談スペースにまとめました。実際の構成は施工事例もご覧ください。
準備のスケジュールと費用感
登壇が決まってからの動きを、時系列で並べておきます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 会期3か月前 | 募集要項を確認し、テーマ案を2〜3本出して応募 |
| 会期2か月前 | 採否の連絡。決まったらタイトルと登壇者名を確定(あとから変更できないことが多い) |
| 会期1か月前 | スライド初稿。ブース告知ポスターのデータも同時に手配 |
| 会期2週間前 | 通し練習を1回。時間を計って、8割に収まるか確認 |
| 会期3日前 | 配布資料の印刷。登壇1回あたり想定席数+2割 |
費用は、応募料が無料〜十数万円、告知ポスターが1枚1万円前後、配布資料が50部で1〜2万円程度。ブース装飾と比べれば小さな投資です。参考までに、当社のブース装飾サービス「NEIGHBOR」は壁だけのプランが1小間18万円〜(2小間28万円〜)、システムブースが1小間28万円〜(2小間42万円〜)、木工ブースが1小間72万円〜(2小間105万円〜)が参考価格です。いずれも照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金になります。
よくある質問
Q. 話せるような実績がありません。応募しても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。来場者が聞きたいのは華々しい実績ではなく、自分と同じ規模の会社がどう工夫したかという話です。「社員8人の会社が、どうやって検査工程を半分にしたか」のような等身大のテーマのほうが、かえって席が埋まります。
Q. 何人くらい集まれば成功と言えますか?
A. 席数の半分が埋まれば十分です。50席の会場で25人、そのうち5人がブースに来て、2件の商談につながれば上出来。人数そのものより、ブースへの来訪数を数えておくと次回の判断材料になります。成果の測り方は「なんとなく出展」を卒業する。展示会の目標設定とKPIもあわせてどうぞ。
Q. スライドは英語も用意すべきですか?
A. 国内展であれば日本語だけで構いません。海外来場者が多い展示会なら、図と数字が中心のスライドにしておくと、言葉が分からなくても伝わります。来場者対応の準備は英語で話しかけられたら。展示会の海外来場者対応、最低限の準備に整理しています。
まとめ
セミナー枠は、ブースの前を通らなかった人に届く数少ない手段です。そして多くの初出展企業が、気後れして応募していません。つまり空いています。
テーマは自社紹介にせず、来場者の困りごとで書く。席は自分たちで埋めにいく。最後のスライドで小間番号まで伝える。登壇後30分はブースに戻る。この4つを押さえれば、30分の枠が数件の商談に変わります。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
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