モニターで映像を流す、PCでデモを見せる。展示会ブースでは何かと電気を使いますが、初出展で意外と多いのが「コンセントがなかった」「会場Wi-Fiがつながらずデモが動かない」というつまずきです。
展示会の小間(ブースの区画)は、基本的に床と区画の線があるだけの「空っぽ」の状態で引き渡されます。電気もインターネットも、自分で申し込まない限り届きません。この記事では、電源とネット回線の申込みで押さえるべきこと、必要な容量の見積もり方、そして当日「つながらない」を防ぐ準備を順番に説明します。
電気は「申し込んだ分だけ」届く、が基本
多くの展示会では、出展者マニュアルの中に「電気供給申込書」や「電気工事申込書」があり、ブースで使う電気の容量(W数、kW数)を事前に申告します。主催者側の電気工事業者がその容量に合わせてブースまで幹線(電気の元となる配線)を引き、分電盤を設置する、という流れです。
ここで注意したいのは、多くの場合「電気を引くこと」と「コンセントを置くこと」は別だという点です。幹線を引いただけではブース内に差し込み口がなく、コンセントの個数や位置も別途指定が必要な展示会があります。装飾会社にブースを依頼している場合は、コンセントの位置は装飾会社が図面上で決めてくれることが多いので、「どこで何を使うか」を早めに伝えておきましょう。
費用は展示会や会場によって差がありますが、目安として1kWあたり1万円前後の電気料金に、幹線工事費やコンセント代が加わる形が一般的です。締切を過ぎると割増料金になったり、受け付けてもらえなかったりすることもあります。提出書類全体の流れは「出し忘れると当日が止まる。展示会の提出書類と申請手続きの基本」でもまとめています。
必要な容量は「全部の機器を同時に使ったら」で計算する
申込み容量は、ブースで使う機器の消費電力を合計して決めます。ポイントは「同時に使う可能性があるものは全部足す」ことです。一般的な機器の消費電力は、目安として次のとおりです。正確な数値は機器本体のラベルや取扱説明書で確認してください。
| 機器 | 消費電力の目安 | メモ |
|---|---|---|
| 液晶モニター 32インチ | 50〜80W | 映像を流し続ける前提で計算 |
| 液晶モニター 55インチ | 120〜250W | 大型ほど差が大きい |
| ノートPC | 50〜100W | 充電しながらの使用で上振れ |
| タブレット・スマホ充電 | 1台10〜20W | 台数分を合計 |
| LEDスポットライト | 1灯10〜30W | 装飾会社の照明込みプランでも容量には含める |
| 電気ケトル・コーヒーメーカー | 800〜1,300W | 一気に容量を食う代表格 |
| 実演用の機械・装置 | 機種による | 起動時に定格の数倍流れるものもある |
たとえば1小間(3m×3m)で、55インチモニター1台(200W)、ノートPC2台(200W)、スポットライト6灯(120W)、スマホ充電(40W)なら合計560W。ここに2〜3割の余裕を見て、0.8〜1kWで申し込むのが一つの目安です。逆に、ケトルやコーヒーメーカーを持ち込むと、それだけで1kW前後が必要になります。「来場者にコーヒーを出したい」という場合は、必ず容量に入れてください。
容量を超えるとブレーカーが落ち、照明とモニターが一斉に消えます。復旧に数十分かかることもあるので、「たぶん大丈夫」で少なめに申し込むのが一番危険です。
なお、弊社のブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」の各プラン(壁だけプラン1小間18万円〜、システムブース1小間28万円〜など)は照明込みの価格ですが、照明が含まれていても主催者への電気申込みの扱いは展示会ごとに異なります。どこまでが装飾会社の手配で、どこからが出展者の申込みなのか、打ち合わせの早い段階で確認しておくと安心です。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
見落としやすい「通電時間」と「24時間送電」
展示会の電気は、常に流れているわけではありません。多くの会場では、会期中の開場前後の時間帯だけ通電し、閉場後はしばらくして電気が止まります。搬入日も、夕方以降にならないと通電しない、あるいは搬入日は通電しないというケースがあります。
ここで困るのが、冷蔵が必要な展示品や、夜間も止められないサーバー・水槽などの機器です。こうした場合は「24時間送電」を別途申し込む必要があり、通常の電気とは別系統・別料金になるのが一般的です。また、搬入日に動作確認をしたいなら、その日の通電時間をマニュアルで確認し、足りなければ延長の可否を事務局に問い合わせておきましょう。
閉場後に一斉に電気が切れる点にも注意が必要です。PCは電源が落ちる前に自分たちでシャットダウンし、立ち上げに時間がかかる機器は開場30分前に起動を始める段取りにしておきます。
会場Wi-Fiは「つながらない前提」で準備する
展示会場にはフリーWi-Fiがあることも多いですが、来場者と出展者が数万人規模で同時に使うため、混雑する昼前後はほぼ当てにできません。モバイル回線も同様で、スマホのテザリングやポケットWi-Fiが急に遅くなることは珍しくありません。
安定した通信が必要なら、主催者が用意している「出展者用のインターネット回線(有線LANや専用Wi-Fi)」の申込みを検討します。費用は展示会によって幅があり、目安として会期中で数万円からというものが多いようです。申込み締切は電気と同じ時期に設定されていることが多いので、一緒に検討するのが効率的です。
それでも一番確実なのは、ネットがなくても見せられる状態にしておくことです。
- 紹介動画はクラウド再生ではなく、PCやUSBメモリにファイルで保存しておく
- Webサービスのデモは、画面録画した動画や、オフラインで動くデモ版を用意しておく
- 資料はPDFでタブレットに入れておき、QRコードの先がつながらなくても説明できるようにする
- どうしても通信が必要なデモは、回線を2系統(出展者回線+モバイルルーターなど)用意する
モニターで流す映像そのものの考え方については「展示会ブースのモニター、何を流せばいい?」も参考にしてください。
当日に慌てないための持ち物と配線のコツ
電気と回線の申込みが済んでいても、当日の細かい備品が足りずに困ることがあります。次のものは、あらかじめ持ち物リストに入れておくと安心です。
| 持ち物 | 目安の量 | 理由 |
|---|---|---|
| 延長コード(3〜5m) | 2〜3本 | コンセント位置と機器の位置が合わないことが多い |
| 電源タップ(個別スイッチ付き) | 2〜3個 | 機器を個別にオンオフでき、トラブル時に原因を切り分けやすい |
| 養生テープ・配線カバー | 1式 | 床を這うコードは来場者のつまずきの原因になる |
| HDMIケーブル(予備) | 1〜2本 | 接触不良は当日いちばん多いトラブルの一つ |
配線は来場者の通る場所を横切らないように、壁際や展示台の裏を通すのが基本です。コードが床に出てしまう場合は、配線カバーや養生テープでしっかり固定しましょう。ブース内の動線については「なぜ素通りされる? 展示会ブースのレイアウトと動線の考え方」も合わせてご覧ください。
よくある質問
Q. 小さな機器しか使わない場合でも、電気の申込みは必要ですか?
A. スマホの充電程度でも、小間内にコンセントがなければ使えません。共用コンセントの利用は多くの展示会で禁止されています。必要な電力が少なくても、最小単位(例: 0.5kWや1kW)で申し込むのが一般的です。
Q. 家庭用の電気ケトルを持ち込んでもいいですか?
A. 展示会によっては電熱器具の使用に制限や届出が必要な場合があります。使えるとしても1台で1kW前後を消費するため、容量計算に必ず入れてください。飲み物の提供自体に別の申請が必要な展示会もあるので、マニュアルで確認しましょう。
まとめ
展示会の電気とネット回線は、「申し込んだ分だけ届く」「会場Wi-Fiはつながらない前提」の2点を押さえておけば、大きな失敗は避けられます。使う機器を早めに洗い出し、消費電力を合計して2〜3割の余裕を見て申し込むこと。そして、動画や資料はオフラインでも見せられるよう準備しておくこと。地味な準備ですが、当日ブースが真っ暗になるトラブルを防ぐ一番の近道です。過去の施工事例は施工事例ページでもご覧いただけます。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
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