ブース装飾を依頼すると、施工会社から図面が送られてきます。線と数字が並んだPDFを開いて、「たぶんこれでいいと思います」と返してしまった経験はないでしょうか。実はここが、初出展でいちばん取り返しのつかない分かれ道です。
図面を承認した時点で、その内容で製作が始まります。会場で「思っていたのと違う」と気づいても、もう直せません。とはいえ建築の知識が必要なわけではなく、見るポイントは数えるほどしかありません。この記事では、3種類の図面それぞれで何を確認すればいいのかを、順番に整理します。
出てくる図面は主に3種類
呼び方は会社によって多少違いますが、届く図面はおおむねこの3つです。役割が違うので、それぞれ別の目で見る必要があります。
| 図面の種類 | 何を表しているか | 主に確認すること |
|---|---|---|
| 平面図 | ブースを真上から見た配置図 | 什器の位置、通路との関係、人の動線 |
| 立面図(展開図) | 壁面を正面から見た図 | 壁の高さ、社名やグラフィックの位置と大きさ |
| パース(CG) | 完成イメージを立体的に描いた絵 | 全体の雰囲気、色味、印象 |
よくあるのが、パースだけを見て承認してしまうケースです。パースは雰囲気を伝えるための絵で、寸法の正確さを保証するものではありません。実際に何がどこにどのサイズで建つのかは、平面図と立面図にしか書かれていません。きれいなCGに安心せず、必ず2枚とも開いてください。
平面図で確認する4つのこと
平面図は真上から見た図なので、当日の人の動きがそのまま読み取れます。次の4点を順に指でなぞって確認しましょう。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 入口の広さ | 通路に面した側がどれだけ開いているか。壁で塞ぎすぎていないか |
| 通路の幅 | ブース内をスタッフと来場者がすれ違えるか。900mm以上あると安心 |
| 什器の位置 | 受付、商談テーブル、展示台の並び。来場者が奥まで進む理由があるか |
| バックヤード | 在庫や私物を置く場所が確保されているか |
特に見落とされるのが通路幅です。図面の上では余裕があるように見えても、そこに人が立つと一気に狭くなります。1人が立っている前を、もう1人が通れるかどうかを想像してみてください。入りやすさの設計は「入りやすいブースには理由がある。受付と動線の設計」で詳しく扱っています。
もう一つ、平面図には方位ではなく通路の位置が書かれています。自分の小間のどの辺が通路に面しているのか、隣は誰なのか。角小間なのか列小間なのかで見せ方が変わるので、「角小間・列小間・島小間の違いは?展示会の小間位置の選び方」もあわせて確認しておくと理解が早くなります。
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1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
立面図で確認する3つのこと
立面図は壁を正面から見た図です。ここでは高さと文字のサイズを見ます。
1つめは壁の高さ。一般的な展示会では、背面の壁が2,700mm前後、通路側は規定で低く抑えられることがあります。数字がミリメートル単位で書かれているので、2700とあれば2.7メートルです。人の背丈が約1,700mmなので、それと比べて何倍かを考えると実感が湧きます。
2つめは社名やキャッチコピーの高さと文字サイズ。床から2,000mm以上の位置にあるか、文字の高さは十分か。ここが低いと、人が立ったときに隠れて読めなくなります。文字の決め方は「遠くから読めますか? 展示会ブースの社名サインとキャッチコピーの決め方」を参考にしてください。
3つめは照明の位置。立面図にスポットライトの記号が並んでいるはずです。灯数と、どこを照らしているかを確認します。展示台の真上に何もなければ、その製品は暗いままです。「暗いブースに人は来ない。展示会照明の基本」もどうぞ。
縮尺と寸法の読み方
図面の隅に「S=1/50」といった表記があります。これは縮尺で、1/50なら図面上の1cmが実際の50cm、つまり実物の50分の1で描かれているという意味です。1/30、1/50、1/100あたりがよく使われます。
寸法はミリメートル表記が基本です。展示会の1小間は3m×3mと言われますが、図面上は隣との壁の厚みを引いた2,970mm×2,970mmのように実寸で書かれていることがあります。この数十ミリの差が、什器がぴったり収まるかどうかを分けます。
参考になる寸法をいくつか挙げておきます。数字だけを見てもピンと来ないときは、これと比べてみてください。
| 対象 | 一般的な寸法 |
|---|---|
| 受付カウンターの高さ | 900〜1,000mm |
| 商談用テーブルの高さ | 約700mm |
| A4パンフレットの縦 | 297mm |
| ブース内通路の推奨幅 | 900mm以上 |
| 立った人の目線の高さ | 約1,500mm |
よくある質問
Q. 図面に赤字で修正を入れたいのですが、どう伝えればいいですか?
A. PDFに直接コメントを入れるか、印刷して手書きしたものを写真で送るのがいちばん確実です。文章だけで「もう少し右に」と伝えると解釈がずれます。「どこを」「どちらへ」「どのくらい」の3点をセットで書いてください。数字が分からなければ「カウンター1台分ぶん右へ」でも十分伝わります。
Q. 何回まで修正できますか?
A. 会社や契約によりますが、大幅な変更は回数が限られることが多く、製作が始まってからの変更には追加費用がかかります。だからこそ最初の1回にしっかり時間をかけるのが結果的に近道です。依頼時の伝え方は「ブース装飾の見積もり前に。デザイン会社に伝えるべき5つのこと」にまとめています。
Q. 図面を見ても立体のイメージが湧きません。
A. その場合は遠慮なく「パースをもう1カットください」と頼んでください。通路から見た角度、正面から見た角度の2つがあると理解しやすくなります。実際に建った状態は施工事例でも確認できます。似た規模の事例を挙げて「これに近いイメージですか」と聞くのも、認識合わせの早道です。
まとめ
図面を読むコツは、専門用語を覚えることではありません。平面図では人の動きを、立面図では文字と高さを、パースでは雰囲気を——この3つの役割分担さえ頭に入れておけば、確認すべきことは自然と見えてきます。
そして図面が届いたら、当日ブースに立つ予定のスタッフにも見せてください。担当者ひとりで見ていると気づかない「ここに立つと後ろを通れない」といった問題が、5分で見つかります。図面の段階で直せることは、会場ではもう直せません。
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