「ブースに価格を書いたら、競合に見られてしまうのでは」「でも値段が分からないと、来場者は話を聞いてくれないかもしれない」。初めての展示会準備で、意外と迷うのがこの問題です。パネルや資料に価格を載せるかどうかは、会社の方針や商材によって正解が変わります。
この記事では、展示会ブースで価格を「見せる」「見せない」を決めるための考え方と、見せない場合でも来場者を逃さない答え方、当日その場で聞かれたときの準備までを整理します。
価格が見えないと、来場者は何を考えるか
展示会の来場者は、1日に何十ものブースの前を通ります。その中で足を止めるかどうかは、数秒で判断されます。このとき来場者の頭には「うちの予算で買えるものだろうか」という問いが必ずあります。価格の手がかりがまったくないと、「高そうだから、話を聞いても無駄かもしれない」と通り過ぎてしまう人が一定数います。
一方で、価格を大きく出したことで「思ったより高い」と感じ、話を聞く前に離れる人もいます。つまり価格表示は、来場者を呼び込む力と、ふるい落とす力の両方を持っています。大切なのは、自社がどちらの働きを期待するのかを先に決めることです。
「見せる」「見せない」を決める3つの判断軸
迷ったときは、次の3点で考えると整理しやすくなります。
| 判断軸 | 価格を見せた方がよいケース | 見せない方がよいケース |
|---|---|---|
| 価格の決まり方 | 定価・パッケージ料金がある | 仕様や規模で毎回大きく変わる |
| 価格の強さ | 相場より手頃、または分かりやすい | 高価格帯で、価値の説明が先に必要 |
| 展示会の目的 | その場の受注・問い合わせ数を増やしたい | じっくり商談し、少数の見込み客と深く話したい |
たとえば月額制のクラウドサービスや、定価のある小型機器なら、価格を見せることが「話を聞く理由」になります。反対に、個別設計の設備や高額なシステムは、価格だけが先に伝わると誤解を生みやすいため、見せ方を工夫した方が安全です。どの目的で出展するかは、事前に決めた目標と合わせて考えましょう(展示会の目標設定とKPIもあわせてどうぞ)。
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1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
価格をぼかさずに伝える、4つの中間案
「全部見せる」か「一切見せない」かの二択で考える必要はありません。実務では、次のような中間案がよく使われます。
- 「〜円から」の最低価格だけ出す:入口の価格が分かるだけで、来場者は安心して話を聞けます。
- 価格帯(レンジ)で示す:「導入費用の目安:50万〜150万円」のように幅を持たせます。
- モデルケースで示す:「従業員30名の工場で導入した場合の例」など、条件付きの一例として出します。
- 会期限定の条件だけを見せる:「会期中のご相談で初期費用を半額」など、価格そのものではなく特典を打ち出します。
どの案でも、「税込か税別か」「何が含まれて何が別料金か」を必ず併記してください。条件が抜けた価格は、後で「聞いていた金額と違う」というトラブルの元になります。
どこに、どのくらいの大きさで書くか
価格を出すと決めた場合も、ブースの一番目立つ位置に大きく書くのはおすすめしません。遠くから見えるべきなのは、社名と「何をしてくれる会社か」です。価格は、来場者がブースに一歩近づいたときに目に入る位置、たとえば展示台の横に置くA4〜A3程度のPOPや、パネルの下部に添えるのが目安です。
文字の大きさは、1〜2メートル離れて読める程度(A3のPOPなら数字部分で3〜4センチ角ほど)で十分です。パンフレットに詳しい料金表を載せ、ブースでは「〜円から」だけを見せる、という役割分担も有効です。配布資料の作り方は展示会のパンフレット計画で詳しく紹介しています。
価格を見せない場合の「答え方」を用意しておく
価格を出さないと決めた場合でも、「これ、いくらですか?」とは必ず聞かれます。ここで「ケースバイケースです」とだけ答えると、来場者は「はぐらかされた」と感じてしまいます。
おすすめは、スタッフ全員が同じ答え方をできるように、次の3段階の回答を事前に決めておくことです。
- 目安を一言で伝える:「小規模な導入で100万円前後からが多いです」
- 価格が変わる理由を添える:「台数と設置場所の条件で変わります」
- 次の行動を提案する:「条件を2〜3点伺えれば、1週間以内に概算をお送りします」
3番目の「次の行動」は、そのまま名刺交換やヒアリングにつながる大切な一歩です。聞かれた内容と答えた目安は、商談メモに必ず残しておきましょう。当日の記録の取り方は展示会当日に「何を聞いて、どう残すか」の設計が参考になります。
競合に見られることは、どこまで気にするべきか
「価格を出すと競合に知られる」という心配はもっともですが、定価のある商品であれば、多くの場合Webサイトや代理店経由ですでに知られています。展示会で隠しても、得られる効果は限定的です。むしろ気にすべきなのは、個別案件の値引き条件や、特定顧客向けの価格が漏れることです。こうした情報はパネルに書かないのはもちろん、ブース内での会話やタブレットの画面にも注意しましょう。
よくある質問
Q. 価格を書いたPOPは、会期の途中で差し替えてもいいですか?
A. 問題ありません。1日目の反応を見て「〜円から」を追加する、特典の表記を変えるといった調整はよく行われます。差し替えに備えて、A4のPOPを数パターン印刷しておくか、社内でプリンターを使える体制を用意しておくと安心です。
Q. 主催者の規定で、価格表示が禁止されることはありますか?
A. 展示会によっては、会場内での販売行為や現金の受け渡しを制限している場合があります。価格の「表示」自体は認められていることが多いものの、「即売」や「会場価格」の打ち出し方には条件がつくこともあるため、出展者マニュアルで事前に確認してください。
まとめ
展示会ブースでの価格表示に、全社共通の正解はありません。価格の決まり方、価格の強さ、出展の目的の3つで「見せる」「見せない」を決め、迷ったら「〜円から」や価格帯などの中間案を選ぶのが現実的です。そして、どちらを選んだ場合も「聞かれたときの答え方」をスタッフ全員でそろえておくことが、商談につなげるいちばんの近道です。ほかの出展社のブースづくりの実例は施工事例もご覧ください。
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