「出展することは決まったけれど、何から手をつければいいのか分からない」。初めて展示会に出展する担当者の方から、いちばん多くいただくご相談です。展示会の準備でつまずくのは、やることの数そのものよりも決める順番であることがほとんどです。順番を間違えると、ブースのデザインが固まらないうちにグラフィックの入稿期限が来る、といったことが起こります。
この記事では、会期から逆算して「いつ、何を決めるか」を時期ごとに整理します。半年前から動ける場合の標準スケジュールと、2〜3か月しかない場合の短縮版の両方を載せますので、いま自社がどの地点にいるかを確認しながら読んでみてください。
まず「動かせない締切」をカレンダーに置く
準備期間は展示会の規模や自社の体制で変わりますが、初出展であれば会期の6か月前から動き始めると余裕があります。とはいえ、出展が決まった時点で3か月を切っていることも珍しくありません。大切なのは残り期間の長さそのものより、自分では動かせない締切が先にあると知っておくことです。
動かせない締切を決めるのは主催者です。出展者説明会、小間位置の抽選、付帯設備の申込、搬入日時の登録——これらは出展者マニュアルに日付入りで書かれていて、1日も動きません。逆に社内で調整できるのは、ブースのデザイン検討やカタログの原稿づくりといった「自分たちのペースで進む仕事」だけです。まず出展者マニュアルを開いて、日付が書かれている項目をすべてカレンダーに転記するところから始めてください。
| 時期(会期から逆算) | 主にやること | 締切を決める人 |
|---|---|---|
| 6か月前 | 出展申込・出展目的の言語化・予算枠の確保 | 主催者 |
| 4か月前 | 出展者マニュアルの精読・ブース発注先の選定 | 社内 |
| 3か月前 | ブースのプラン決定・見積の確定 | 社内 |
| 2か月前 | 小間位置の確定・付帯設備の申込・備品レンタル | 主催者 |
| 1.5か月前 | グラフィックのデザイン確定・原稿と写真の準備 | 社内 |
| 1か月前 | グラフィック入稿・事前集客の開始・当日シフト作成 | 印刷/主催者 |
| 2週間前 | 搬入出の登録・持ち物リスト・トークの練習 | 主催者 |
| 前日 | 設営・最終確認 | — |
6〜4か月前:申込と「目的の言語化」を同時に進める
出展申込では、小間数と小間位置の希望を出します。ここで決めた小間数は後から増やせないことが多いので、予算とあわせて慎重に判断してください。
同じ時期にやっておきたいのが、出展目的の言語化です。「知名度を上げたい」のままでは、ブースのデザインもスタッフの声かけも決まりません。「代理店経由ではない直接取引を希望する、製造業の購買担当者と名刺交換したい」くらいまで絞ると、そのあとの判断がすべてラクになります。どの展示会に出るかをまだ迷っている段階なら、自社に合う展示会の選び方と5つの判断軸もあわせてご覧ください。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
3か月前:ブースの発注先を決める
ここが最初の山です。展示会ブースの装飾を頼む先は、主催者が指定する「指定業者」と、外部の装飾会社の大きく2つに分かれます。それぞれの向き不向きは展示会ブースの発注先の選び方に整理しています。
装飾会社に相談するときは、決まっていないことがあっても構いません。むしろ「まだ決まっていないこと」を正直に伝えたほうが、返ってくる提案の精度は上がります。何を伝えれば話が早いかはオリエンシートの書き方にまとめました。
費用の目安も、この時期に握っておきたいところです。たとえば当社の見積もりサービス「NEIGHBOR」では、壁と床だけのシンプルなプランが1小間18万円〜、システムパネルで組むブースが1小間28万円〜、木工で造作するブースが1小間72万円〜。2小間なら壁だけで28万円〜、システムパネルで42万円〜、木工で105万円〜が目安です(いずれも参考価格・照明込み。ターポリンやパネルなどの装飾は別料金)。ここに出展料・輸送費・人件費・印刷費が別途かかりますので、装飾費は総額の一部だと考えて予算を組んでください。
2か月前:申込書がいっせいに来る「締切ラッシュ」
小間位置が確定し、出展者マニュアルにある各種申込書の締切が集中するのがこの時期です。代表的なものは次のとおりです。
- 電気(必要な容量・ワット数)、給排水、圧縮空気などの付帯設備
- 小間内で使うレンタル備品(テーブル・椅子・棚・モニター)
- 装飾の施工申請(高さ規定を超える場合や、2階建て・天井を設ける場合)
- 搬入車両の駐車証・車両証
電気は「何ワット必要か」を先に計算しないと申し込めません。照明・モニター・デモ機の消費電力を足し、2割ほど余裕を見ておくのが安全です。詳しくは付帯設備の申込ガイドをご覧ください。高さ規定の読み方はブースの高さ規定とセットバックの読み方にあります。
備品のレンタルも、この時期を過ぎると割増料金になる展示会が多くあります。43インチのモニターを1台借りるだけでも4万円前後かかりますから、自社から運べるものと借りるものを早めに仕分けしておくと、費用にも当日の手間にも効いてきます。
1か月前:グラフィック入稿と事前集客を同時に走らせる
ブースのグラフィック(大判の出力物)は、施工会社の制作スケジュールに合わせて会期の3〜4週間前には入稿が必要です。ここから逆算すると、デザインの最終確定は1.5か月前、原稿と写真の準備はさらにその前ということになります。「デザインは1か月前でいい」と思っていると間に合いません。データの作り方はグラフィックの作り方と入稿の基本をご確認ください。
同じ時期に、事前集客も始めます。招待券の送付、既存顧客へのメール、SNSでの告知。当日の来場をただ待つより、会う約束をしてから会期に入るほうが成果は安定します。具体的な進め方は事前集客、招待券・メール・SNSの使い方に。当日のスタッフ人数とシフトも、出展スタッフの人数の決め方とシフトの組み方を参考にこの時期に確定させておきましょう。
「あと2か月しかない」ときに削る順番
出展が急に決まった場合、すべてを標準どおりには進められません。削る優先順位は次のとおりです。
- 主催者締切に関わるものを最優先で押さえる。付帯設備と搬入登録に遅れると、当日そもそも動けません。
- ブースは木工造作をあきらめ、システムパネルか壁だけのプランに切り替える。制作期間が短く、費用も抑えられます。
- グラフィックは枚数を減らし、大きな1枚に情報を集約する。点数が減れば入稿も校正も早く終わります。
- 展示物は「いちばん見せたい1点」に絞る。選び方は展示物と実演の決め方を参考に。
逆に、削ってはいけないのはスタッフの準備です。ブースが簡素でも、立っている人が来場者の困りごとを聞き出せるなら商談は生まれます。何を削り、何を残すかの判断軸は削っていい費用・削ってはいけない費用もあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 出展申込は、会期の何か月前が締切ですか?
A. 展示会によりますが、会期の6〜8か月前に締め切る大型展が多く、人気の展示会は締切前に満小間になることもあります。出たい展示会が決まっているなら、前回開催の出展社数と募集時期を主催者サイトで確認し、次回の募集開始と同時に動くのが確実です。
Q. ブースの打ち合わせは、何回くらい必要ですか?
A. 初回のヒアリング、プラン提案、修正確認、最終確定で3〜4回が一般的です。1回あたり1〜2週間の間隔があくため、発注から確定までは1か月半ほど見ておくと安心です。オンラインでの打ち合わせを混ぜると、この期間は短縮できます。
Q. 前回の出展で作ったブースを、次回も使えますか?
A. システムパネルや木工の造作物は、保管さえしておけば再利用できます。ただし小間の間口や高さ規定は展示会ごとに違うため、そのまま流用できるとは限りません。判断のポイントはブースを「次回も使う」ための保管と再利用の考え方にまとめています。
まとめ
展示会の準備でいちばん効くのは、細かい作業を早く始めることではなく、動かせない締切を先にカレンダーへ置くことです。主催者が決めた締切を軸に、そこから社内の作業を逆算していけば、やることの順番は自然に決まっていきます。
6か月前から動ければ理想ですが、3か月でも2か月でも、順番さえ間違えなければ形になります。まずは出展者マニュアルを開いて、日付の入っているページに付箋を貼るところから始めてみてください。実際のブースの仕上がりは施工事例でご覧いただけます。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
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