「展示会では何か配ったほうがいいと聞いたけれど、何を、いくつ用意すればいいのか分からない」。初めて出展する担当者から、いちばん多く届く相談のひとつです。ノベルティは金額が読みやすく社内でも通しやすい費目なので、つい先に決めてしまいがちです。ところが実際の会場では、配った数と名刺の数がまったく比例しない、ということが起こります。
この記事では、ノベルティと配布資料の役割の違い、部数の決め方、単価の目安、そして当日に商談へつなげる渡し方までを、初出展の担当者向けに整理します。読み終えるころには、自社の予算でいくつ用意すればいいかを自分で計算できるようになります。
ノベルティと配布資料は、目的がまったく違う
まず前提として、ブースで人に手渡すものは大きく2種類あります。目的が違うので、同じ予算の中でも扱いを分けたほうが失敗しません。
ひとつはノベルティ(販促品)。ボールペンやウェットティッシュのように、会話のきっかけをつくり、社名を持ち帰ってもらうためのものです。もうひとつは配布資料(会社案内・カタログ・チラシ)。こちらは会期が終わったあとに読み返してもらい、問い合わせにつなげるためのものです。
ありがちな失敗は、この2つを1つの袋にまとめて誰にでも渡してしまうことです。通りすがりの来場者にまでカタログを渡すと、印刷費があっという間に消えていきます。逆に、じっくり話した相手にノベルティだけ渡して資料を渡し忘れると、会期後に思い出してもらえません。「誰に、どちらを渡すか」を先に決めるのが出発点です。
部数は「来場者数」ではなく「立ち寄り数」から逆算する
部数の決め方は、多くの人がつまずくところです。「3日間で3万人来場」と聞くと、つい数千個を用意したくなります。しかしその3万人が全員あなたのブースの前を通るわけではありませんし、通ったとしても足を止めるのはごく一部です。
目安として、1小間(間口およそ3m)のブースが3日間で交換できる名刺は、業種や小間位置にもよりますが50〜150枚程度に収まることが多いです。まず自社の目標名刺数を決め、そこから逆算します。
- 配布資料(会社案内・カタログ)= 目標名刺数と同数+2割の予備。目標100枚なら120部
- 単価の低いノベルティ = 目標名刺数の2〜3倍。目標100枚なら200〜300個
- 単価の高いノベルティ = 目標名刺数の半分以下。具体的な相談をくれた相手にだけ渡す
足りなくなるのが怖くて多めに刷りたくなる気持ちは分かりますが、余ったカタログは倉庫で古くなるだけです。特にカタログは製品や価格が変わるたびに刷り直しになります。初出展なら「少なめに刷って、足りない分は会期後にPDFで送る」ほうが、結果的に安く済みます。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
単価と部数の組み合わせ方
予算の全体像がつかめるように、価格帯ごとの使い分けを表にまとめます。金額はあくまで目安として捉えてください。名入れをする場合は、別途で版代(1万円前後かかることがあります)が乗ります。
| 種類 | 単価の目安 | 部数の目安(名刺100枚が目標の場合) | 渡す相手 |
|---|---|---|---|
| ボールペン、ウェットティッシュ、付箋 | 30〜80円 | 200〜300個 | 通路で足を止めた人 |
| クリアファイル、メモ帳 | 80〜150円 | 150〜200個 | 名刺を交換した人 |
| エコバッグ、モバイル関連グッズ | 300〜800円 | 30〜50個 | 具体的な相談をくれた人 |
| 会社案内・カタログ(印刷費) | 100〜400円 | 120部 | 名刺を交換した人 |
この組み合わせなら、ノベルティと印刷物をあわせて5万〜10万円程度が一つの目安になります。ブース装飾費(当社の壁だけプランで1小間18万円〜、システムブースで1小間28万円〜※参考価格)と比べれば小さな金額ですが、「安いから多めに」と考えると簡単に膨らむ費目でもあります。先に上限を決めてから選びはじめてください。
「置く」より「渡す」。効くのは手渡しのとき
カウンターに山積みにして「ご自由にお取りください」にすると、確かに数は減ります。ただ、減っただけで会話は生まれません。ノベルティの本当の役目は、話しかける口実をつくることです。
おすすめは、ノベルティをスタッフの手元に置き、声をかけてから渡す運用です。「よろしければどうぞ」と差し出すと、多くの人はいったん足を止めます。その3秒があれば、「今日は何をご覧に来られたんですか」と一言つなげられます。
渡す動作を前提にすると、ブースのつくりも変わります。受付カウンターは通路側の角に寄せる、ノベルティは腰の高さに置いてすぐ手が届くようにする、といった設計です。動線の考え方は入りやすいブースには理由がある。受付と動線の設計で詳しく書いています。
カタログは「その場で読ませない」前提でつくる
展示会場でカタログをじっくり読む人は、ほとんどいません。会場は明るく、人が多く、立ったままです。カタログの仕事は会期後に自分の机の上で開いてもらうことだと割り切ったほうがうまくいきます。
そのために効くのは、次の3つです。
- 表紙に「何をしている会社か」を1行で書く。持ち帰った本人が後で見て思い出せるようにする
- 担当者の名刺を挟む、または担当者名を書き込む欄をつくる。会期後の連絡先が資料と紐づく
- 問い合わせフォームや施工事例ページへ飛ぶQRコードを入れる。飛び先は後から差し替えられる
カタログを立てて見せたい場合は、什器をレンタルする手もあります。当社のNEIGHBORでは、カタログスタンドを1台8,000円、ハイテーブルを1台8,000円で追加できます。什器を買うか借りるかの判断は借りる?つくる?持ち込む? 展示会ブースの什器の決め方もあわせてご覧ください。
当日の運用でやりがちな失敗
- 在庫を全部ブースに出してしまう:初日に配りきって最終日が空になります。1日分ずつ小分けにして、残りは控室や小間内の物置スペースへ
- 袋詰めを当日にやる:前日設営の時間は想像以上に足りません。袋詰めは社内で済ませて持ち込みます
- 重いものを初日の午前に配る:来場者はこのあと何十社も回ります。重い配布物は「帰りに寄ります」と敬遠されがちです
- 名刺やアンケートと交換にしない:「アンケートにご記入いただいた方にお渡ししています」の一言で、集まるリードの質が変わります。設問の作り方は名刺だけでは分からない。展示会アンケートの設計術が参考になります
よくある質問
Q. ノベルティは必ず用意しないといけませんか?
必須ではありません。実演やデモで足を止められる商材なら、ノベルティなしでも人は集まります。ただし、大型の機械や部品のように現物を持ち込みにくい商材の場合、手渡すものが何もないと会話のきっかけをつくりにくいのも事実です。予算が限られるなら、まず配布資料を優先し、ノベルティは単価30〜80円のものを100個程度から試すのが現実的です。
Q. 名入れはしたほうがいいですか?
そのノベルティが「どこで使われるか」で判断してください。ボールペンや付箋のようにデスクで使われるものは、名入れの効果が高くなります。一方、会場内で持ち歩くだけのものは、版代に見合わないこともあります。なお、展示会名や年度を入れてしまうと次回に使い回せなくなるので、社名とロゴだけに留めるのが無難です。
Q. 余ったノベルティはどうすればいいですか?
次の展示会や、営業が訪問するときに持参すれば無駄になりません。だからこそ、選ぶ段階で「その展示会限定のデザイン」を避けておくことが大切です。カタログについても、価格や型番のように変わりやすい情報は別紙にしておくと、本体を長く使えます。
まとめ
- ノベルティは会話のきっかけ、配布資料は会期後の想起。役割を分けて考える
- 部数は来場者数ではなく、自社の目標名刺数から逆算する
- 置くのではなく、声をかけて手渡す。そのためのレイアウトにする
- カタログは会期後に机の上で開いてもらう前提でつくる
配布物は、ブース装飾と切り離して考えるとうまくいきません。スタッフがどこに立ち、どこで声をかけ、どこで名刺を交換するのか。その動きが決まってはじめて、置き場所と部数が決まります。実際のブースでどう配置されているかは、ものづくりワールド東京の施工事例もあわせてご覧ください。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
コメント