「とりあえず、かっこいいブースでお願いします」。展示会ブースの制作会社に、そう伝えた経験はありませんか。悪気はなくても、この一言だけでは返ってくる提案は運任せになります。逆に、伝えるべきことを整理して渡せば、初回提案の精度は驚くほど上がります。
この記事では、初めて展示会ブースを外注する担当者に向けて、オリエンシート(依頼内容をまとめた資料)に何を書けばよいのかを整理します。デザインの知識は要りません。必要なのは、自社のことを言葉にすることだけです。
オリエンシートは「デザインの答え」を書く場所ではない
オリエンシートに「木目調で、白基調で、ロゴは右上に」と書き込む必要はありません。それはデザイナーの仕事です。担当者が書くべきなのは前提です。誰に、何を伝えたいのか。いくらまでで、いつまでに。前提さえ正確なら、デザインの引き出しは制作会社が持っています。
前提が曖昧なまま見た目だけを指定すると、きれいだけれど成果につながらないブースができあがります。A4用紙1枚、箇条書きで構いません。
最低限そろえたい7項目
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 出展展示会・会期・会場 | ◯◯展2027/2027年3月10〜12日/東京ビッグサイト東ホール |
| 小間数と小間位置 | 2小間(18㎡)/列小間、両隣に出展社あり |
| 出展目的(数字で) | 新製品の認知獲得。名刺200枚、商談アポ15件 |
| 来てほしい人 | 中堅製造業の生産技術担当、30〜50代 |
| 展示物 | 実機1台(W800×D600×H1200mm・約80kg)、パネル4枚 |
| 予算 | 装飾費80万円まで(電気工事・運搬は自社手配) |
| スケジュール | 主催者への装飾申請が1月15日締切 |
特に効くのが展示物の寸法と重さです。実機を床に直置きするのか展示台に載せるのかで、レイアウトは根本から変わります。「あとで送ります」ではなく、分かる範囲の数字を最初に渡してください。提案が図面で返ってきたときの読み方は平面図・立面図の見方で解説しています。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
「かっこいい」を、目的の言葉に翻訳する
出展目的は、できるだけ数字にしてください。「認知度を上げたい」だけでは、提案を評価する軸がありません。「名刺200枚」「商談アポ15件」まで書くと、受付の位置も商談席の数も、そこから逆算できます。
名刺獲得を最優先するなら、通路に向かって開いた入りやすいブースと、足を止める仕掛けが要ります。既存顧客とじっくり話すことが目的なら、通路から視線が切れる半個室が要ります。同じ予算でも、この2つはまったく違う設計になります。目標の立て方は展示会の目標設定とKPIもご覧ください。
予算は「幅」で伝えたほうが、いい提案が返ってくる
予算を伝えたがらない担当者は少なくありませんが、これは損をします。金額が分からないと、制作会社は無難な真ん中を狙うか、規模の外れた提案を出すしかありません。「70〜100万円で考えている」と伝えるほうが、提案はぐっと具体的になります。
相場感がない場合は、価格を公開しているサービスを目安にするのも手です。当社が運営する「NEIGHBOR」では、1小間(9㎡)が壁面のみのプランで18万円から、システムブースで28万円から。2小間(18㎡)はシステムブースが42万円から、木工ブースが105万円からです。ここに電気工事費、運搬費、印刷費、当日の人件費が別途乗ると考えると全体像がつかめます。費目の内訳は展示会出展の費用の考え方にまとめています。
あわせて、その予算に「含むもの/含まないもの」を書き添えてください。デザイン費だけなのか、施工と撤去まで込みなのかで、見積書は倍近く変わります。
添付するのは、この3点だけでいい
1つ目は、主催者が配布する出展規定(PDF)。壁面の高さ制限、天井を張れるか、火気を使えるかなど、ここを外すと提案そのものがやり直しになります。2つ目は、ロゴデータと会社案内。ロゴはAIやEPSなど拡大しても荒れない形式が理想です。3つ目は、展示物の写真。スマートフォンで撮ったもので構いません。
これに加えて「いいと思ったブースの写真」が2〜3枚あると精度が上がります。別業種のものでも構いません。当社の施工事例も、好みの方向を伝える材料に使ってください。
依頼から本番までの、現実的なスケジュール
目安として、会期の4〜6か月前に相談を始めるとゆとりがあります。初回提案まで2〜3週間、修正のやり取りに2〜3週間、社内決裁に2週間、制作と印刷に1〜2か月。装飾申請の締切(多くは会期の1〜2か月前)から逆算すると、余白は思ったほどありません。
会期まで3か月を切っている場合は、既製部材を組み合わせるシステムブースに絞ると間に合わせやすくなります。工法の違いはシステムブースと木工ブースの選び方、準備全体の逆算は会期6か月前からのスケジュールをご参照ください。
よくある質問
Q. 複数社に同時に依頼(コンペ)してもいいですか?
A. 問題ありませんが、3社までをおすすめします。同じオリエンシートを全社に渡し、提出日と評価軸(デザイン・予算・実績のどれを重視するか)を先に伝えると、比較しやすく、各社も本気の提案を出しやすくなります。
Q. デザインのイメージがまったく浮かびません。
A. それで大丈夫です。「浮かばない」と正直に書いてください。そのうえで避けたいことを3つ挙げるだけで、方向性は十分に絞れます。「黒基調は避けたい」「社名は10m先から読めるように」「什器費は抑えたい」。このくらいの粒度で構いません。
Q. オリエンシートは何ページくらい必要ですか?
A. A4で1〜2ページです。作り込んだ長い資料より、7項目が埋まった1枚のほうが確実に伝わります。メール本文に箇条書きで書いても機能します。
まとめ
オリエンシートは、制作会社を試す資料ではなく、自社の狙いを社内で確認する資料でもあります。書きながら「そういえば目標を決めていなかった」と気づけたなら、それだけで価値があります。
展示会・小間数・目的・ターゲット・展示物・予算・スケジュール。この7つを埋め、出展規定のPDFとロゴを添えて送る。それだけで、返ってくる提案の質は確実に変わります。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
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