展示会の成果を左右するのは、当日どれだけ人が通りかかるか、だけではありません。会期前に「この日のこの時間、ブースでお話ししませんか」と約束を取りつけておけば、通路の人の流れに関係なく、確実に商談の時間をつくることができます。
ただ、初めての出展だと「誰に声をかければいいのか」「いつ連絡すれば失礼にならないか」「当日、予約が重なったらどうするか」が分からず、結局招待状を送るだけで終わってしまいがちです。この記事では、展示会の事前アポイント(商談の予約)の取り方を、声をかける相手の選び方から、連絡のタイミング、会期中の時間枠の組み方、当日の備えまで順番に紹介します。
招待状と事前アポイントは、目的が違う
招待状やメールでの案内は、多くの人に展示会を知ってもらい、「時間があれば寄ってみよう」と思ってもらうためのものです。一方で事前アポイントは、特定の相手と、日時を決めて会う約束をすることです。来てもらえる確率が高く、相手も話を聞くつもりで来るので、会話の中身が濃くなります。
どちらか一方ではなく、両方を組み合わせるのが基本です。案内の広げ方は展示会の事前集客、招待券・メール・SNSの使い方を参考にしてください。この記事では、その中から「必ず会いたい相手」を選び出し、約束にするところに絞って解説します。
誰に声をかけるか:会いたい相手を3つに分ける
アポイントを打診する相手は、思いつくままに選ぶより、目的ごとに分けて考えると整理しやすくなります。
- 既存の取引先。新製品を実物で見てもらう、担当者の上司や別部署の方を紹介してもらう、といった関係を深める場になります。
- 検討が止まっている相手。以前問い合わせがあった、見積もりを出したまま返事がない、といった相手には「実物を見ながら、もう一度ご相談しませんか」と声をかけやすい機会です。
- まだ会ったことのない見込み先。紹介や業界団体のつながりなど、きっかけがある相手に限るのが現実的です。面識のない相手にいきなり打診すると、断られやすくなります。
件数の目安は、商談に対応できる担当者の人数から逆算します。たとえば担当者2名で、1件30分の商談を1日4件ずつ受けるなら、3日間で最大24件です。実際には予定の変更や欠席もあるため、打診する数はその1.5倍程度を見込んでおくと、枠が埋まりすぎず、空きすぎもしない計算になります。
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いつ、どう打診するか:会期から逆算する
連絡が早すぎると相手の予定が決まっておらず、遅すぎるとすでに他の予定が入っています。目安として、次のような段取りで進めると無理がありません。
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 会期の4週間前 | 最初の打診(メール・電話) | 展示会名、会期、小間番号、見せたいものを1〜2行で伝える |
| 会期の2週間前 | 日時の確定 | 候補を2〜3つ出してもらい、予約表に記入する |
| 会期の1週間前 | 来場登録の案内 | 事前登録が必要な展示会なら、登録ページや招待コードを送る |
| 会期の前日 | リマインド | 小間番号、会場内の位置、当日の担当者名と連絡先を送る |
最初の連絡で大切なのは、「何のために会うのか」を相手が判断できるようにすることです。「ぜひお越しください」だけでは、相手は時間を取る理由が分かりません。「新しい○○を実際に触っていただけます」「以前ご相談いただいた件の改良版をお見せできます」のように、相手にとっての目的を具体的に書きましょう。
会期中の時間枠の組み方
アポイントが入りはじめたら、担当者ごと、商談席ごとの予約表をつくって管理します。表計算ソフトで、縦に時間、横に担当者と商談席を並べるだけで十分です。
時間枠は、1件30分を基本に、前後に15分ほどの余白を入れておくと安心です。前の商談が延びたり、相手の到着が遅れたりしても、次の予定に響きにくくなります。また、すべての時間を予約で埋めず、1日のうち少なくとも1〜2時間は、通りがかりの来場者に対応できる時間として空けておきましょう。
商談席の数にも注意が必要です。1小間で商談席が1卓しかない場合、同じ時間帯に2件の予約は受けられません。ブース内で座って話せる場所のつくり方は1小間からつくる展示会の商談スペースで、担当者のシフトの考え方は出展スタッフの人数の決め方とシフトの組み方で紹介しています。ブースの設計段階で「予約の商談を何組同時に受けたいか」を装飾会社に伝えておくと、席の配置を最初から考えてもらえます。
当日の備えと、会期後のつなぎ方
予約していても、当日は遅刻や急な欠席が起こります。担当者の携帯電話番号を事前に伝えておき、相手が会場で迷ったときにすぐ連絡がつくようにしておきましょう。予約の時間に担当者が別の来場者と話しているときのために、誰が代わりに出迎えるかも決めておくと、相手を待たせずに済みます。
商談が終わったら、話した内容と次の約束を、その日のうちに記録します。御礼の連絡は会期終了から3営業日以内を目安に送り、展示会で話した内容に触れて次の一歩を提案しましょう。会期後の進め方は展示会が終わってからの30日でやることにまとめています。
よくある質問
Q. 小さな会社でも、事前アポイントは取れますか?
A. 取れます。むしろ担当者の人数が少ない会社ほど、会う相手と時間を先に決めておく効果は大きくなります。3日間で数件でも、確実に会える商談があると、会期中の動き方に余裕が生まれます。
Q. 来場者は、展示会に入るための登録が必要ですか?
A. 事前の来場登録が必要な展示会は少なくありません。登録の方法や招待コードの有無は展示会ごとに違うので、主催者の出展者向け資料で確認し、アポイントの相手には登録の手順まで案内しておきましょう。
まとめ
事前アポイントは、展示会を「誰かが来てくれるのを待つ場」から「会いたい人と確実に会う場」に変える準備です。会いたい相手を目的ごとに分け、会期の4週間前から逆算して打診し、余白を持たせた予約表で管理する。この流れをつくっておけば、初めての出展でも、会期中に手応えのある商談を積み上げることができます。
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