パネルの隅にQRコードを入れておきました。読み取った先は、会社のトップページです。——この設計、じつはかなりもったいない使い方です。
展示会場でスマートフォンを取り出す人は、「いま気になったことを、あとで見返したい」と思っています。そこでトップページに飛ばされると、探す手間が発生して離脱します。せっかく興味を持った数秒が、そこで途切れてしまうわけです。
この記事では、QRコードの先に何を置くべきか、会期中だけの受け皿ページをどうつくるか、紙の資料とWebの役割分担、そして読み取られた数をどう次に生かすかを整理します。専門知識は要りません。既存のサイトに1ページ足すだけでできる話です。
会場でスマホを出す人は、3つのどれかを探している
来場者がQRコードを読み取る動機は、おおむね次の3つに絞られます。それぞれ、着地させるべきページが違います。
| 来場者の気持ち | 置くべきページ | 置いてはいけないページ |
|---|---|---|
| あとでじっくり読みたい | 資料のPDFダウンロード | 会社概要のトップページ |
| いま見た実物をもう一度見たい | 該当製品の詳細ページ | 製品一覧ページ |
| 話を聞きたいが、今日は時間がない | 問い合わせ・相談予約フォーム | 電話番号だけの案内 |
ポイントは、1枚のパネルに1つのQRコードだけを置くこと。3つ並べると、来場者はどれを読めばいいか判断できず、結局どれも読みません。「このパネルを見た人が次に知りたいこと」を1つだけ決めて、そこへ直行させます。
QRコードの大きさは、最低でも3cm角。来場者は50cm〜1m離れた位置から読み取るので、これより小さいと読み取りに手間取ります。床から1.2〜1.5mの高さ、つまり立った人の胸から目の高さに置くと、スマートフォンを構えやすくなります。パネル制作時の入稿については入稿は会期の何日前? 展示会ブースのグラフィック(出力物)の作り方と入稿の基本も確認しておいてください。
会期中だけの「受け皿ページ」を1枚つくる
もっとも効果が出るのは、その展示会専用のページを1枚用意することです。既存サイトの下に「/expo2026/」のようなURLを1つ足すだけで構いません。
中身は、次の5つを縦に並べるだけで成立します。展示会名と自社の小間番号、ブースで展示しているものの写真と一行説明、資料のダウンロードリンク、相談フォーム、そして会期後に見た人向けの「会期は終了しました。資料はこちらから」という一文。
このページがあると、良いことが3つあります。ひとつは、来場者がブースで見たものをそのまま見返せること。ふたつめは、アクセス数を見れば反応の大きさが分かること。みっつめは、会期後に名刺交換した相手へ送るメールに、このURLを1本貼るだけで済むことです。
制作の手間は、既存サイトがあれば半日程度。外注しても数万円の範囲で収まることが多いはずです。公開は会期の1週間前を目安にすると、事前告知のメールにもURLを載せられます。事前集客の進め方は当日を待たない。展示会の事前集客、招待券・メール・SNSの使い方にまとめています。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
紙とWeb、どちらに何を持たせるか
「Webに載せるなら、パンフレットは要らないのでは」と聞かれることがありますが、答えは「両方要る、ただし役割を分ける」です。
| 紙が得意なこと | Webが得意なこと | |
|---|---|---|
| 会場で | その場で開いて一緒に見る、書き込む | 持ち帰りの荷物を増やさない |
| 持ち帰り後 | 机に置かれて思い出される | 社内で転送・共有される |
| 情報量 | 4〜8ページが限界 | 事例や仕様を無制限に置ける |
実務的には、紙は「会場で一緒に見るための2〜4ページ」に絞り、詳細な仕様書や事例集はWebに置いてQRで渡す、という分担が扱いやすいです。重い冊子を300部運ぶ必要がなくなるので、輸送費と搬入の負担も減ります。部数の考え方は「配って終わり」にしない。展示会のノベルティと配布資料の決め方を参考にしてください。
ひとつ注意点があります。会場のWi-Fiや電波は、来場者が集中する時間帯に不安定になります。読み取ったあと重い動画が自動再生されるようなページだと、その場で開いてもらえません。受け皿ページは、文字と軽い画像中心の、いわゆる「軽いページ」にしておくのが安全です。
読み取られた数を、次の判断材料にする
紙の資料は、何部持ち帰られたかは分かっても、読まれたかどうかは分かりません。Webなら、そこが見えます。
やり方は簡単で、パネルごとにQRコードのURLの末尾を変えておくだけです。「/expo2026/?p=a」「/expo2026/?p=b」のようにしておけば、アクセス解析でどのパネルが読まれたかが分かります。製品Aのパネルが40件、製品Bが6件だったなら、次回のブースで大きく扱うべきはどちらか、迷わずに済みます。
あわせて記録しておきたいのが、会期3日間の日別アクセス数と、資料ダウンロードのフォーム送信数。この2つは、社内報告の数字としてもそのまま使えます。目標の立て方は「なんとなく出展」を卒業する。展示会の目標設定とKPIに整理しました。
会期後のフォローでは、このページを見た人と名刺をくれた人を突き合わせると、優先して連絡すべき相手が浮かび上がります。30日の動き方は名刺の山で終わらせない。展示会が終わってからの30日でやることをご覧ください。
ブース側で用意しておくこと
Web側の準備ができても、ブースが対応していないと読み取ってもらえません。現場で効くのは、次の3点です。
ひとつめは、QRコードの近くに一行の説明を添えること。裸のQRコードは読まれません。「詳しい仕様書はこちら(PDF・12ページ)」のように、先に何があるかを書いておくと読み取り率が上がります。
ふたつめは、スタッフが「よろしければ読み取ってください」と声をかけられる状態にすること。自分のスマートフォンで実際に読み取って見せると、相手も真似をしてくれます。
みっつめは、照明の反射を避けること。スポットライトが光沢のあるパネル面に当たると、QRコードが白飛びして読み取れなくなります。マットな素材で出力するか、光の角度をずらしてください。照明計画は明るくすれば目立つ、ではない。展示会ブースの照明の考え方に、仕上がりの例は施工事例にまとめています。
よくある質問
Q. 専用ページをつくる余裕がありません。既存ページではだめですか?
A. 製品詳細ページなど、内容が絞られたページであれば十分機能します。避けたいのはトップページと一覧ページだけです。どうしても新規ページが難しければ、資料のPDFに直接リンクするだけでも、トップページよりはるかに親切です。
Q. QRコードの読み取りに、個人情報の入力を求めてもいいですか?
A. 資料を見る前に必ず入力させる形にすると、大半の人が離脱します。資料はそのまま読めるようにしておき、「詳しい事例集をご希望の方はこちら」と、一段深い情報にだけフォームを置く。この二段構えのほうが、結果的に連絡先は多く集まります。
Q. QRコードはどうやってつくればいいですか?
A. 無料の生成サービスで作成できますが、パネルに印刷する場合はベクター形式(EPS、SVG)で書き出せるものを選んでください。画像形式で作成したものを引き伸ばすと、輪郭がぼやけて読み取り精度が落ちます。装飾会社にデータを渡す際も、この形式で入稿すると確実です。
まとめ
QRコードは、置くこと自体が目的になりがちです。けれど価値があるのは、読み取ったあとに何が待っているかのほう。
パネル1枚にQRは1つ、3cm角以上、胸から目の高さ。飛び先は展示会専用の軽い1ページ。紙は会場で一緒に見るためのものに絞り、詳細はWebへ。URLの末尾を変えて、どのパネルが読まれたかを記録する。この4つを押さえるだけで、会場での数秒が、会期後の商談につながっていきます。
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