展示会の1日目が終わると、ほとんどの出展担当者はくたくたです。片付けをして、ホテルや自宅に戻って、翌朝また会場へ。気づけば最終日まで同じやり方のまま走り切っていた、という話はよく聞きます。
ですが、3日間の展示会なら、1日目の夜と2日目の夜の2回、やり方を変えるチャンスがあります。この記事では、会期中の毎日の終わりに行う短い振り返り(ここでは「終礼」と呼びます)の進め方と、翌日に向けて実際に何を変えられるのかを、具体的に紹介します。
なぜ会期中に振り返るのか
展示会は、準備にかけた時間に比べて本番がとても短いイベントです。数か月かけて用意したブースでも、実際に来場者を迎えられるのは多くて3〜4日です。展示会が終わってから反省会をしても、その改善が生きるのは次回、つまり半年後や1年後になります。
一方、会期中に気づいたことをその日のうちに共有すれば、翌日からすぐに成果に反映できます。1日目に「この声かけだと足が止まらない」と分かれば、2日目の朝から変えられるのです。とくに初出展では、事前の想定と実際の来場者の反応がずれることが多いため、会期中の軌道修正が大きな差になります。
終礼は「15分・立ったまま・3つの質問」
疲れている終了直後に長い会議をしても、意見は出ません。終礼は、閉場後の片付けの前に、ブースの中で立ったまま15分以内で終えるのが目安です。話す内容は、次の3つの質問に絞ります。
- 今日、いちばん反応がよかったのは何か(声かけ、展示物、デモ、配布物など)
- 今日、うまくいかなかったのは何か(素通りが多かった時間帯、答えに詰まった質問など)
- 明日、変えることを1つだけ決めるなら何か
ポイントは、3番目の「変えることを1つだけ」です。あれもこれもと変更点を増やすと、翌朝の準備が間に合わず、スタッフも混乱します。1日1つずつなら、3日間で2つの改善が確実に積み上がります。
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数字は3つだけ記録する
感覚だけの振り返りは、声の大きい人の意見に引っ張られがちです。そこで、毎日次の3つの数字だけを記録しておくと、話し合いが具体的になります。
| 記録する数字 | 数え方の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 名刺・リードの数 | 名刺の束を数える、スキャン件数を見る | その日の接触量 |
| 「見込みが高い」相手の数 | 商談メモにA・B・Cのランクをつけ、Aを数える | 接触の質 |
| 時間帯ごとの混み具合 | 1時間ごとに「多い・普通・少ない」をメモ | スタッフ配置の見直し |
たとえば1日目の名刺が120枚でもAランクが5件なら、「人は来ているが、相手を選べていない」と分かります。反対に名刺が40枚でもAランクが10件なら、声かけの量を増やす余地があります。ランクのつけ方や当日のメモの残し方は、展示会当日に「何を聞いて、どう残すか」の設計で詳しく解説しています。
翌日に変えやすいこと・変えにくいこと
会期中に変えられることには限りがあります。夜のうちに変えられるものと、会期中は動かせないものを分けておくと、現実的な改善策が出やすくなります。
| 翌日から変えやすいこと | 会期中は変えにくいこと |
|---|---|
| 声かけの一言、説明の順番 | 壁面グラフィック、大型サイン |
| 展示物の並び順、デモの時間 | ブースの構造、照明の位置 |
| スタッフの立ち位置、休憩の時間帯 | 小間の位置、電気容量 |
| A4のPOP、配布物の置き場所 | パンフレットの内容(増刷は間に合わないことが多い) |
とくに効果が出やすいのは、スタッフの立ち位置と声かけです。通路に背を向けて話し込んでいた、入口をふさぐように立っていた、といった点は翌朝すぐに直せます。立ち位置の基本は展示会スタッフの服装・立ち位置・声かけも参考にしてください。
翌朝の「朝礼5分」で全員にそろえる
終礼で決めたことは、翌朝の開場前に5分だけ集まって共有します。前日の終礼に参加できなかった交代要員や、2日目から応援に来た人にも同じ情報が伝わるようにするためです。伝える内容は「昨日の3つの数字」「今日変えること1つ」「今日の時間帯ごとの担当」の3点で十分です。共有メモはA4用紙1枚に手書きし、バックヤードに貼っておくと、休憩から戻った人もすぐ確認できます。
よくある質問
Q. スタッフが2人しかいない小さなブースでも、終礼は必要ですか?
A. むしろ少人数ほど効果があります。2人なら5分程度の立ち話で済みますし、お互いが見ていなかった時間帯の様子を共有できます。閉場後の帰り道に話すだけでも構いませんが、決めたことは必ずメモに残しましょう。
Q. 終礼の記録は、展示会後にも使えますか?
A. はい。毎日の数字と変更点の記録は、そのまま社内報告や次回出展の改善材料になります。会期後にゼロから思い出すより、ずっと正確で説得力のある報告がつくれます。展示会後の動き方は展示会が終わってからの30日でやることもあわせてご覧ください。
まとめ
会期中の終礼は、15分・立ったまま・3つの質問で十分です。名刺の数、見込みの高い相手の数、時間帯ごとの混み具合という3つの数字をもとに、翌日変えることを1つだけ決め、翌朝5分で全員にそろえる。この小さな繰り返しが、同じブース・同じ予算のままで、最終日の成果を引き上げてくれます。実際のブースの様子は施工事例でもご紹介しています。
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