「人はたくさん歩いているのに、うちのブースの前は素通りされてしまう」。展示会に初めて出展した企業の担当者から、いちばん多く聞く悩みです。原因はデザインの良し悪しより、ブースの中の「並べ方」と、通路からの入りやすさにあることがほとんどです。この記事では、1小間・2小間の小さなブースでも今日から見直せる、レイアウトと動線(お客さまが歩く道すじ)の考え方を、寸法の目安つきで整理します。
まず自分のブースの「間口」と「奥行き」を書き出す
レイアウトを考える前に、数字を確認します。多くの展示会で1小間は間口2,970mm×奥行2,970mm(約3m角)、高さ制限2,700mmが基本です。このうち通路に面している辺が「間口」で、来場者があなたのブースを見るのは基本的にこの面だけです。
1小間で通路に面するのは、たった約3m。人が歩く速度だと、通り過ぎるまで2〜3秒しかありません。この短い時間で「何の会社か」が分かり、「入ってもいい場所だ」と感じてもらう必要があります。小間位置によって間口の数(1面か2面か)も変わるので、まだ位置が決まっていない方は角小間・列小間・島小間の違いは?展示会の小間位置の選び方もあわせて確認してください。
通路側に「壁」をつくらない
初出展でいちばん多い失敗が、受付カウンターやカタログスタンドを間口いっぱいに置いてしまうことです。本人は「窓口をつくった」つもりでも、来場者からは入口をふさがれた箱に見えます。人は、逃げ道がなさそうな場所には入りません。
目安として、間口3mのうち1.2m以上は何も置かない「入口」として空けておくと、足を踏み入れやすくなります。カウンターを置くなら間口の正面ではなく、片側に寄せて斜めに構えるか、ブースの奥に下げる。それだけで立ち寄り率は変わります。
また、ブース内で人がすれ違うには幅900mm程度の通路が必要です。什器(テーブルや棚)の奥行きは450〜600mmが一般的で、3m角のブースの両側に置くと残りは約1.8m。ここに商談テーブルまで入れると窮屈です。「置きたいもの全部」ではなく、絞る発想が要ります。
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
ブースの型を3つから選ぶ
目的によって、最適なレイアウトは変わります。まずは自社がどの型かを決めてから、什器を選んでください。
| 型 | 向いている目的 | 通路側の使い方 | 1小間での目安 |
|---|---|---|---|
| オープン型 | とにかく多くの人に見てもらう・認知拡大 | 什器を置かず全面開放。壁面で見せる | 立ち寄り数は最大、滞在は短い |
| カウンター型 | 製品を手に取ってもらう・簡単な説明 | 片側にカウンター、反対側を入口に | 1〜2名で回せる。もっとも汎用的 |
| 商談重視型 | じっくり話す・見込み客を深掘り | 手前に展示、奥に椅子2脚のスペース | 滞在は長いが、同時に1組まで |
迷ったらカウンター型が無難です。初出展で「認知も商談も」と欲張ると、どっちつかずになりがちです。奥に商談席をつくる場合の具体的な組み方は、立ち話で終わらせない。1小間からつくる展示会の商談スペースで詳しく書いています。
情報は「高さ」で3層に分ける
動線は平面だけの話ではありません。来場者との距離によって、目に入る高さが変わります。伝える情報を高さで分けると、遠くからでも近くからでも伝わるブースになります。
上段(約1,800〜2,700mm)は10m以上離れて読まれるゾーン。社名と、何をしている会社かの一言だけを大きく置きます。中段(約1,200〜1,600mm)は立ち止まった人の目線で、いちばん読まれる場所。ここに「誰の、どんな課題を解決するか」を。下段(約900mm以下)は実物サンプルやカタログなど、手を伸ばして触れるものです。
上段を作り込まずに机の上だけ充実させると、通路からは「何屋さんか分からないブース」になります。サインの文字サイズや言葉の選び方は遠くから読めますか? 展示会ブースの社名サインとキャッチコピーの決め方を、実際の高さの使い分けは施工事例の写真を参考にしてください。
スタッフの立ち位置が、最後の動線を決める
どれだけレイアウトを整えても、スタッフが間口の真ん中に立っていれば、来場者は入れません。人は「見られている入口」を避けるからです。
おすすめは、通路の正面ではなく間口の片側、通路から半歩内側に立つこと。来場者の進行方向に対して斜めの位置関係になり、圧迫感が減ります。2名以上いるときは、全員を入口側に並べないこと。1名は奥で作業をしているくらいがちょうどよく、「入っても大丈夫そう」という空気が出ます。
もうひとつ意外と効くのが荷物の置き場所です。予備のカタログや空箱が隅に積まれていると、それだけで動線が狭くなります。小さなブースでも収納は最初から設計に入れておきましょう。
よくある質問
Q. 1小間でも背面の壁は必要ですか?
A. 基本的には必要です。背面が空いていると隣のブースや倉庫が見えてしまい、自社の展示が視覚的に埋もれます。壁だけを立てる構成なら、当社の「壁だけプラン」で1小間18万円〜、2小間28万円〜が目安です(照明込み・参考価格。ターポリンやパネル等の装飾は別料金)。まず壁で自社の面をつくり、そこにグラフィックを貼るのが、限られた予算でもっとも効く順番です。
Q. レイアウトはいつまでに決めればいいですか?
A. グラフィックの入稿から逆算すると、会期の1.5〜2か月前には平面図を固めたいところです。レイアウトが決まらないとサインの寸法が出せず、出力物の制作にも入れません。什器のレンタル申込にも締切があるため、後ろ倒しにすると選択肢が減ります。
Q. 2小間になったら、何を増やすべきですか?
A. 展示物ではなく「余白」と「商談席」を増やすことをおすすめします。間口が約6mになると、入口を2か所に分けたり、手前を展示・奥を商談と役割を分けたりできます。展示物の数を倍にすると情報量が増えすぎて、かえって何も伝わらなくなります。
まとめ
小さなブースで成果を出す鍵は、豪華さではなく「入りやすさ」です。間口の1.2m以上を空ける、ブース内に900mmの通路を確保する、情報を3つの高さに分ける、スタッフは正面に立たない。この4つを押さえるだけで、立ち寄り数は目に見えて変わります。
まずは方眼紙でもかまいませんので、3m角の四角を描いて、置きたいものを実寸で並べてみてください。「入らない」ことに気づけたら、それが第一歩です。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
コメント