「出展は決まった。ブースの図面も固まった。あとは当日、たくさんの人が来てくれれば――」。初出展の担当者からよく聞く言葉です。ただ展示会の成果は、開催前の数週間でかなりの部分が決まります。主催者が集める来場者は基本的に「通りすがり」ですが、自社で呼んだ来場者は最初からあなたの会社に会いに来ます。この記事では、今日から始められる事前集客の進め方を、招待券・メール・SNS・事前アポの4つに分けて解説します。
事前集客をした会社と、しなかった会社の差
展示会のブースに立ち寄る人には、大きく2種類います。会場を歩いていて「なんとなく気になった」人と、「この会社に会いに来た」人です。前者はブースの見せ方次第で増やせますが、商談まで進む確率はどうしても下がります。一方、後者は最初から社名も商品も知っているので、その場で具体的な話に入れます。
そして「会いに来た人」は自然発生しません。開催前に自社から声をかけた分だけ増えます。ブース装飾に何十万円もかけるなら、その手前の「呼ぶ」工程にも同じだけ手をかけたほうが費用対効果は上がります。ほとんどお金がかからないのに、後回しにされがちな工程です。
招待券は「配る前に相手を決める」
多くの展示会では、出展社に招待券(招待状)が配られます。主催者によりますが、1小間で数十枚から数百枚が目安です。ここでやりがちなのが、既存客へ手当たり次第に送ってしまうこと。数を撒くより、来てほしい相手を先に決めるほうが効きます。
優先順位はこの順番がおすすめです。①いま提案中で、実物を見せれば話が進む見込み客。②過去に問い合わせがあったが失注・保留になっている相手。③既存客のうち、まだ取引していない部署や関連会社。④名刺交換だけで止まっている相手。①と②だけでも、リストにすると意外と数十件は出てきます。招待券が余ったら、そこから④に広げれば十分です。
送るときは、招待券に一言メモを添えるだけで反応が変わります。「前回お話しした◯◯の実機を展示します」のように、その人にとっての来場理由を書いてください。印刷された案内文だけでは、ほぼ読まれずに終わります。
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1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
集客メールは1通で終わらせない
メールは1回送って終わりにすると、開封のタイミングを外して届きません。目安として、下の3回に分けて送ると取りこぼしが減ります。
| タイミング | 内容 | ねらい |
|---|---|---|
| 会期の3〜4週間前 | 出展のお知らせ、展示内容、小間番号、招待券の案内 | 予定を押さえてもらう |
| 会期の1週間前 | 見どころを1つに絞って紹介、会場地図とブース位置 | 来場を思い出してもらう |
| 前日または初日の朝 | 「本日から3日間、◯◯ホール◯番でお待ちしています」 | 当日の行動につなげる |
件名には展示会名と自社名を必ず入れてください。「【東京ビッグサイト】◯◯展に出展します(株式会社△△)」のような形です。相手は複数の展示会の案内を同時に受け取っているので、どの展示会の話かが件名で分からないと開かれません。
本文は長くしないこと。展示内容・小間番号・日時・担当者名の4点で足ります。詳しく伝えたいなら、自社サイトの出展告知ページへのリンクを1本置けば十分です。
SNSと自社サイトでやる最低限の3つ
SNSに力を入れる余裕がなくても、次の3つだけはやっておく価値があります。
1. 自社サイトに出展告知ページを1枚つくる。展示会名・会期・会場・小間番号・展示物・問い合わせ先を書いた簡単なページで構いません。メールやSNSからのリンク先になり、検索で会社名を調べた人の目にも留まります。
2. 展示会の公式ハッシュタグを使って投稿する。多くの展示会は公式タグを設定しており、来場を検討している人はそれを追っています。ブース番号を添えて投稿するだけでも見つけてもらえます。
3. 出展社検索(公式サイトの出展社一覧)を埋める。見落とされがちですが、来場者が回る先を決めるときに必ず見る場所です。会社名だけで説明文が空欄だと、そこで候補から外れます。展示物の写真と、何を扱っているかが一読で分かる説明文を必ず入れてください。
事前アポは「ブースで会う理由」をつくる
もっとも確実なのは、会期前にアポイントを取ってしまうことです。ただ「ぜひお立ち寄りください」だけでは予定に入りません。「◯日の14時に、新しい◯◯のデモをご覧いただけます」のように、日時と目的をセットで提案してください。
アポが入ったら、対応するスタッフを決めて当日のシフト表に書き込みます。来てもらったのに担当者が接客中で待たせてしまうのは、初出展でとても多い失敗です。落ち着いて話せる場所も要ります。1小間でも商談スペースはつくれるので、1小間からつくる展示会の商談スペースもあわせてご覧ください。
呼んだ人が迷わないブースにしておく
最後の仕上げはブース側です。来場した相手が会場でブースを見つけられなければ意味がありません。社名サインは通路の奥からでも読める大きさにし、案内メールに載せた展示物を目立つ位置に置いてください。文字サイズの目安は展示会ブースの社名サインとキャッチコピーの決め方で解説しています。実際の見え方は施工事例もご参考ください。
そして、集めた名刺をその後どうつなげるかまで決めておくこと。ここが抜けると事前集客の努力が消えます。展示会が終わってからの30日でやることもあわせて準備しておくと安心です。
よくある質問
Q. 招待券が余ったらどうすればいいですか?
無理に配りきる必要はありません。多くの展示会は事前登録で入場無料になるため、招待券がなくても来場自体はできます。余った分は会期直前に追加で声をかける相手に使うか、当日の飛び込み対応用に手元へ残しておけば問題ありません。
Q. 顧客リストが少なく、送る相手がほとんどいません。
SNSと出展社検索ページの2つに力を入れてください。特に出展社検索は、リストを持たない会社ほど効果があります。展示物の写真を数枚載せ、「どんな課題を解決できるか」を1〜2行書くだけで、回る先を決めている来場者の候補に入ります。
Q. 事前集客はいつから始めればいいですか?
出展社検索ページの登録は主催者の締切に従うので、案内が来た時点ですぐ対応してください(会期の2〜3か月前が多い)。招待券とメールは会期の1か月前あたりから動き始めれば間に合います。ただし、展示物の写真が必要になるので、何を展示するかは3か月前には固めておきたいところです。
まとめ
事前集客は、お金ではなく手間で成果が変わる工程です。招待券は相手を決めてから一言添えて送る、メールは3回に分ける、自社サイトと出展社検索ページを埋める、可能なら事前にアポを取る。この4つで、当日ブースに立ったときの手応えは大きく変わります。ブースをつくり込む前に、まず「誰に来てほしいか」のリストから始めてみてください。
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