「同じ1小間なのに、A社とB社の見積もりが倍近く違う」。初めて展示会に出展する担当者から、よく聞く話です。見積書を並べても、どちらが妥当か判断できない。そんなときの手がかりが、ブースの工法、つまり「何でつくるか」の違いです。
工法は大きく「システムブース」と「木工ブース」の2つに分かれます。この記事で両者の費用感・準備期間・向き不向きを整理し、自社にどちらが合うかを社内に説明できる状態を目指します。
そもそも「工法」とは何のことか
工法とは、ブースの壁や什器を何の材料で、どうやって組み立てるかのことです。搬入から開場までに使える時間は前日の1日だけということも珍しくなく、会期が終われば数時間で解体します。この「短時間で建てて壊す」という条件が、工法の違いを生んでいます。
1小間は3m×3mの9m²が標準です。同じ9m²の箱を規格部材でつくるか木材で造作するかが、見積金額とスケジュールの大部分を決めます。
システムブース:規格部材を組み合わせてつくる
アルミの支柱と、幅1m前後・高さ2.4〜2.7m程度の規格パネルを組み合わせるブースです。決まったサイズのパーツを積み上げるブロックのようなつくり方で、会場で見かけるブースの多くがこれです。
メリット
- 費用を抑えやすい。部材を使い回すため、材料費が丸ごと価格に乗らない
- 準備期間が短い。図面確定から1か月前後でも間に合うケースがある
注意したい点
- パネルの割付が決まっており、曲面や斜めの壁はつくりにくい
- 支柱やパネルの継ぎ目が見え、近くで見ると規格品の組み合わせだと分かる
展示会ブースかんたん見積もり「NEIGHBOR」
1小間のブース、いくらでつくれる?
いずれも1小間(3m×3m)・税別。照明込みで、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
木工ブース:木材で一から造作する
木材を加工し、壁や什器をひとつずつつくり込むブースです。表面はクロス貼りや塗装で仕上げ、図面に描いた形をそのまま立ち上げられます。
メリット
- 自由度が高い。アーチ、斜め壁、埋め込み什器など、描いたものはほぼ実現できる
- 継ぎ目が出ず面としてきれいに見え、ブランドの世界観を表現しやすい
注意したい点
- 費用が上がる。目安として、同じ広さでもシステムブースの1.5〜2倍以上になりやすい
- 準備期間が長く、デザイン確定から施工まで2〜3か月はみておきたい
- 原則その展示会限りの使い切りで、会期後は廃材になる
2つの工法を並べて比べる
主な違いは次のとおりです。金額や期間はあくまで目安です。
| 比べる項目 | システムブース | 木工ブース |
|---|---|---|
| デザインの自由度 | 規格の範囲内(直線が基本) | ほぼ制限なし |
| 費用の傾向 | 抑えやすい(参考価格 1小間28万円〜) | 高くなりやすい(同 1小間72万円〜) |
| 準備期間の目安 | 1〜1.5か月 | 2〜3か月 |
| 仕上がりの印象 | 清潔感があり情報が整理された印象 | 重厚感があり世界観が伝わる |
| 会期後 | 部材を再利用 | 基本は使い切り |
| 向いている規模 | 1〜3小間 | 4小間以上で真価が出やすい |
表中の参考価格は、当社のブース発注サービス「NEIGHBOR」のものです(2小間はシステム42万円〜・木工105万円〜、壁だけのシンプルな構成なら1小間18万円〜)。いずれも照明込み、ターポリンやパネルなどの装飾は別料金です。
初出展ならどう選ぶ?判断の3つの軸
1. 装飾以外に回せる予算が残るか
展示会の費用は装飾だけではありません。小間料、電気工事、パンフレット、ノベルティ、交通費、人件費。装飾で予算を使い切ると、肝心の集客の打ち手がなくなります。全体の費用構造は展示会の出展費用、何にいくらかかる?で整理しています。
2. 何を見せたいのか
主役が製品そのものなら、ブースはそれを引き立てる背景です。整っていれば十分で、システムブースで足ります。一方、形のないサービスや、空間体験そのものが商品の場合(内装、建材、什器メーカーなど)は、木工ブースの表現力が成果に直結します。
3. 準備に使える時間があるか
初出展では、出展申込、小間位置の決定、提出書類、製品の準備が同時に走ります。デザインを詰める時間が取れないなら、選択肢が絞られたシステムブースのほうが完成度は上がります。
迷ったときの結論はシンプルです。1〜2小間の初出展なら、まずシステムブース。浮いた予算を事前集客や照明に回すのが、もっとも失敗しにくい組み立て方です。小さな小間でも十分に戦えることは1小間ブースで目立つための工夫でも触れています。
見積もりを依頼するときに伝えたい6つのこと
工法が決まっていなくても、次の6点が分かれば装飾会社は具体的な提案ができます。
- 展示会名・会期・会場
- 小間数と小間の形(角小間か列小間か、間口何メートルか)
- 展示する製品の大きさ・数・重さ(重量物は床の補強が必要な場合あり)
- 商談スペースが必要かどうか
- 装飾にかけられる予算の上限
- 社内で図面を確定できる日
特に予算の上限は、伝えると足元を見られる気がするかもしれませんが、実際は逆です。上限が分かってはじめて、その範囲で最大限の提案ができます。詳しくはデザイン会社に伝えるべき5つのことをご覧ください。
よくある質問
Q. システムブースだと安っぽく見えませんか?
A. 見え方を決めるのは、部材そのものよりもグラフィックと照明です。壁一面に大きなターポリンを張り、スポットライトを数灯足すだけで印象は変わります。詳しくは展示会照明の基本、実際の仕上がりは施工事例をご覧ください。
Q. システムブースと木工ブースは組み合わせられますか?
A. できます。壁面はシステム、受付カウンターだけ木工で造作、といった混在はよくある選び方です。来場者の目が集まる一点だけに木工を使うと、費用を抑えたまま見た目の質を上げられます。
Q. 木工ブースは毎回つくり直しになりますか?
A. 原則はそうですが、什器やサインの一部を保管して転用する方法もあります。年2回以上出展する予定なら、初回の打ち合わせで「次回も使えるつくりにできるか」を相談しましょう。
まとめ
システムブースは規格部材の組み合わせで費用と期間を抑えられ、木工ブースは造作で自由度と世界観に強い。どちらが優れているかではなく、目的・予算・時間の3つにどちらが噛み合うかという話です。
そして初出展で最初に決めるべきは、実は工法ではありません。「この展示会から何を持ち帰りたいのか」。それが定まれば、選ぶべき工法は自然と絞られていきます。
東京フィルムアートでは、初めての出展でも安心の展示会ブース装飾サービスを提供しています。イメージ図を選ぶだけで概算見積もりがつくれる「NEIGHBOR」もぜひご活用ください。
コメント